小平ふるさと村

旧小川家住宅玄関棟は、旧小川村及び小川新田村の開発事業の中心的役割を果たしてきた、名主の小川家に代々継承されてきたものです。

旧小川家住宅玄関棟の画像

創建時の棟札によって、この建物が文化2年(1805年)3月13日着工、同年5月25日の完成であることが明らかとなっています。

その後、明治24年(1891年)に屋敷全体の老朽化が進んだため、大改修工事が行われたと言われていますが、その工事以前の屋敷の配置及び略平面、外観見取図などについては小川愛次郎氏が記憶をもとに作図したものが残されています。

これは、不十分ながらも名主時代の小川家の屋敷構えを具体的に示す重要な資料となっています。

石原憲治氏の調査報告書中に述べられているように(『小平郷土研究会会報』第2号)、屋敷構えは、長い廊下で幾棟もの建物を連結したもので、武家屋敷の配置を思わせ、恐らく建物も本格的な書院造りとなっていたと思われます。

これらに加えて痕跡図及び部材調書に示す解体部材の痕跡などから表玄関の創建時の姿を復元してみますと、正面及び裏側に大きな狐格子(きつねごうし)入りの破風(はふ)を切った茅葺(かやぶき)の入母屋屋根の建物であったことが推定されます。

昭和35年(1960年)には小川愛次郎氏によって屋根修理がなされ、瓦とトタンに葺き変えられていますが、解体部材の調査結果及び復元工事に際して仮組みを行い、詳細な調査を行った結果、千鳥破風(ちどりはふ)をはじめ小屋組材の大部分に当初材が残されており、創建時の屋根形状がほぼ明らかとなりました。

この玄関は主屋とは別棟として建てられ、主屋と廊下で接続しており、一般の名主宅で見られる六ツ間取り、式台、玄関屋敷の形式とは異なります。小川家の格式の高さから、このような形式が可能であったわけで、江戸時代後期における当家の実力を示しています。
小平市指定有形文化財第10号(平成5年3月1日指定)

旧所有者 小川 誠 氏

構造形式 木造平家建 茅葺入母屋造り

規模 桁行3.8間(6.98m) 梁間2.0間(3.64m) 式台付き

延床面積 36.99平方メートル

建築年代 文化2年(1805)竣工 棟札

解体工事 昭和51年5月30日

復元工事 平成3年5月~4年3月

施設案内

旧小川家住宅玄関棟の施設案内の画像